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山根康児「夢」 『NRCドリーム』 第1回「砂漠緑化と心の緑化」

 

 ・山根康児インタビュー記事

   話し手:NRC自然療法研究所 所長 山根康児          聞き手:ライター おたまじゃくし


◆第1回 「砂漠緑化と心の緑化」 
 (平成24年5月3日掲載)

 

NRC自然療法研究所所長 山根康児さんは、料理教室やハーブアドバイザーの講師であり、裏千家茶道の先生でもあり、海外では砂漠緑化の経歴もお持ちですよね。
いろんな分野の「顔」があるようですが、その活動の背景にあるものを知りたいです。

そうですね…一番、大きなきっかけは、高校の時の同級生ですね。
実家が鳥取で、砂漠の研究機関があって、そこに「見学に行かないか」と誘ってくれたのがそもそものきっかけで。
当時、そこは「砂丘研究所」といって、鳥取大学農学部の中にある小さな研究機関でしたが、環境問題が年々深刻になっている途中で「乾燥地研究センター」というひとつの独立行政法人になりました。
見学に行って、その時にはじめて、「あ!環境問題は、ここまで大変なことになっているんだ」という事実と、「鳥取って田舎だと思っていたけど、鳥取でもその土地を生かして、世界に貢献できる研究機関があるんだ!」とちょっと嬉しかったのもあって。 自分も何か国際貢献できる人になりたいと意識しはじめていた頃なので「あ、ここ行こう!」と。 それが今思えば、はじまりだったかなと。

 

「環境問題」にはもともと関心があったのですか?

たぶん…小学校の頃にね、図鑑や本が好きで、学校に本が毎月届いて、購入するようなシステムがあってね。
クラスで自分だけが、なぜかそのシリーズを購入していて「公害について」の本とか「環境問題」についての本をいつも見ていて、同じ日本なのにどうしてこういうことがおこっているんだ?なんでだろう、なんでだろう…と気になっていました。 四日市ぜんそくや、水俣病や、イタイイタイ病… 今いわれてみれば、小学生の時から環境問題はひとりだけ敏感で関心が高かったように思いますね。

 

それは今も根底にありますか?

そうですね… 今の私の原点として「環境」は絶対にはずせない。
一件忘れかけているようでも、ふしぶし頭をもたげる。 環境問題とか、木を切るとか、なんか妙な造成をしているのを見ると「イラっ(怒)」とくる。 「え、なんで木を切るの?」というのはあるし、無秩序な開発とかはやっぱり「え!?」って。 そもそも今やっている料理教室「食で癒すシリーズ」では、きちんと始末をして、ゴミを出さないようにするというのも環境問題に全部かえっていくしね。

 

「乾燥地研究センター」で山根さんを夢中にさせたものは何だったのですか?

まず、その大学の先生にリスペクトしたんですよね。
「夢」があったんですよね。 「夢」!
先生がけっこう夢を持っている先生で、「あ、すごい!いい先生だなぁ」と思って、ちょっとマネがしたいと(笑)。

その先生のお父さんが砂漠緑化の第一人者でミスターサンドマンと呼ばれた遠山正瑛(とおやま せいえい)先生なのです。 亡くなられる直前までジープに乗って砂漠をかけずりまわるような先生で、この先生の遺志をついで、二世である遠山柾雄(とおやま まさお)先生にお会いして、この先生の研究室で勉強がしたいと思った。
何かそういう「熱心に人生をかけるような人」ってすごいな!と思ったんです。
高校時代は、この先生が海外に行かれた新聞やニュースを見たり、本が出るとそれを読んだりするということをしながら、高校1年で、もうすでに鳥取大学の農学部だ!この研究室のこの先生のところに行くんだっ!て決めてたんです。 人にいわせれば進路は偏差値で決めるとか大学の学校の名前か何学部、分野で決めるとか、ということが多いみたいですが、自分はもう、その先生のところに入りたいっ!!と決めて、そのピンポイント(笑)。

でもね、大学に入るのに二浪しているんです。 二浪してやっと大学に入れて、そういう意味では2年間待って、でもまだその思いが揺らがなくて、その大学に行くのです。

 

自分の夢とどこかリンクする、かっこいい大人との出会い。 大切ですよね。

ええ。 そういう意味でも高校時代の友達がいなかったら、センターの見学に行ってないわけですし、今の山根康児はいないですね。 これはふるさと、鳥取に足むけて寝られません(笑)。

 

大学時代は何を研究されていたのですか?

砂漠緑化の先生のところへは大学院で行くのですが、農学部ということもあり、大学院へ行く前に「品種や品種改良のこともちゃんと勉強しとけ!」とその先生のアドバイスがありました。 「砂漠でどんなものが育つのか」というのは、結局は技術だけではなくて、その土地がもともと持っていた、品種のこととかいろんな問題がある。 大学4年間のうち、育種研究室(品種改良や改良をする研究室)に行ったのです。
そこで、花粉を組み合わせるような「交配」のレベルと、近年のちょっとどうなの?というレベルにあった、「遺伝子組み替え」のことも勉強したのです。
そうしたら、疑問いだきながらも実験や研究をしていくと、確かに食料危機がやってきた時にうまくすれば増産の可能性はあるけれど、遺伝子は長い時間かけて進化し、また淘汰されて、いいものだけが残ってきたはず。 だけど、人間の作為でしたことは、果たしてそれが大丈夫かどうかは、100年、1000年単位じゃないとわからない。 人間が末永く、生きていくためにはどうしたらいいか? 環境問題と経済、人間が手を出せる範囲とそうでない範囲、文明や環境保護と科学技術の発達、どちらを優先させるのがいいのかということもいつも自分の中にあるテーマで…。
人間・経済・環境・植物も含めて、そういうことを意識し自分なりの答えを見出しながら大学院での砂漠緑化へと進みだしたのが二十歳すぎでした。

 

ふるさとの地を通して世界に貢献できることは山根さんの夢でもありましたね。

自分はそれまでは、世界のほうにずっと意識がいっていたし、大学院で砂漠緑化の指導員としてエジプトに行ったのです。

でも、特に中近東あたりや中国もそうだけど、せっかく緑化整備がいいところまでいっても、人間のエゴや戦争、クーデターがおこると、もうそこへ入れなくなると、すべて終るのです。  …せっかくの努力が…ね。 …終わる。 終わっちゃうのです。

 

「戦争」は、すべてを奪い去る。

先生いわく、ほんとうに環境問題や砂漠緑化をちゃんとやっていこうと思ったら、緑を植える時に土地の緑も必要だけれど、人間の心に緑植えなきゃ!と。 「平和でないとこの仕事はできない」と先生が言って、やはりそれも深く影響を受けた言葉。 そういうことを考えると、なぜ砂漠緑化をしないといけないのかといったら、「自然に砂漠化する」ものもあるけど、「人為的に砂漠化」することもある。 じゃ、人為的な砂漠化とはなんだろう、というとやはり、人が経済を追求したり、森林を伐採することで、環境が変わり、ほんとうに砂漠化に拍車がかかる。
木を植えるのも緑化のひとつだけど、人の心にも木を植えなきゃ。 心が穏やかでないと地球は緑にならない。 人間のエゴで人間以外のもの、人もそうですけど、巻き添えをくってしまうというのがすごい残念なことだし、そうしないためにも人の心に緑を、平和をもたらさないといけないなと思って。

 

「緑化」の土壌は身近にあった。

海外に行って帰ってきてから、砂漠緑化で海外に出るのもひとつだし、もし国内に留まって、人の心に緑を植えるとすると、やはり海外よりもまず日本から。 木を植えるのも、うちにも植えられるし、植物というものを使って、今ある生活を見直そうという発想もでてきたんです。 身近な台所から緑化はできるなと思って。 それが、台所から家庭や命を守っていく「食事療法」をはじめ、身近なところからお伝えしていくというものへとつながっていくのです。

 

社会の最小単位「家庭」からはじめる「平和」への願いでしょうか?

もちろん、料理教室をしながら何回かは、「自分は、ほんとは砂漠緑化をしたいのだろうけど、家庭の料理に目を向けることで、大きな夢を果たすのを、意気地がなくて退いているんじゃないか」とか、思ったこともあった。 でもやはり無駄にゴミを出さない料理方法や、それから、いい食材をそのまま味わうような食事をすれば健康になるし、もう少し、人間は生産的にものごとをするようになるだろう。 丁寧に生きていくことをすれば、もうちょっとよくなるはずと思いながら、料理教室などはいつもそういう考えをベースにして十数年以上やってきました。 その集大成が今やっている「食で癒す一汁三菜アドバイザー」の講座です。

 

食事療法の「料理教室」のほかにも「ハーブ療法セミナー」「古事記を読むワークショップ」などなど多岐にわたる、心と身体の緑化活動は、今後どこへ向かうのでしょうか?

まずね、どか~んと最終目標いいますね。  最終目標はもうネーミングがあるのです。

その名もズバリ! 「グリーンアース計画」!!

20xx年、2300年いや、何百、何千年という単位かもしれないし、そこに、もう自分はいないかもしれないけれど(笑)。
誰かが今、「何か」をしておかないといけない。
ほかにももちろん誰かが別のところで、何かをしているんだろうし、自分がいなくなってから気がついた誰かでもいい。 そのうちの一人になっていたら、自分はいいなと思う。 地球もいろんな温暖期とか寒暖期とかいろいろあって、それなりにゆらぎはするけれども、やはり人為的にゆれ幅が大きくなってしまっては人間のせいじゃないの?と。
人間のために崩れた環境は、人間がもとに戻すべき。
自然の仕方ない揺れに関しては、逆に人間が手を出すべきではない。
人間が入りこんでいないところで砂漠化しているのであったら、それは自然がしたこととして、自然な作用に人間が関与しちゃいけないけど、人間の営みによって砂漠化したものだったら、それは最小限に食い止めたり、もとに戻すべきだというのが、自分の持論なんです。 だからなんでも環境改善とか砂漠改善とか緑化をすればいいという人とはちょっと違います。

 

今までにあったものと今あるものをしっかり見据えるってことでしょうか?

よく、単に緑を植えます!改善します!みたいなことと、「同じ」と思われているので、ちょっと違いますよ!って。
なんでも砂漠化を防止するために適当な植物を植える人もいるのですけどね。 でもあんまり変なものを植えると、本来そこにある緑の性質が失われちゃうのですよね。
本来そこに何が生えていたかをちゃんと研究して、そこを戻すようなことをしないと。
たとえば、竹は根をたくさん張って地すべりに強いという理由で、本来そこになかった竹を植えてしまうと、竹の根がほかの在来のものを締め出して、植物形態が変わる。 そうしたらそこに住む生き物もかわって、生態系全部が変わったりします。 これは自然破壊じゃないですか。
そういういのは、望んでないのでね。

 

最終目標は遠い未来ですけど、今できることを今から、はじめていくというのは、いろんなものを育むということにつながっていく。 そういう意味でも、セラピースクール「シーズ(種)」として活動されておられますね。

「グリーンアース計画」は地球規模ですよね。
そこにいくまでにいろんなステップがありまして(笑)
その前身ともいえるのが、もう少し小さいレベルの計画があります。
まず、日本の、ある一エリアをもう少し環境を中心に経済を発展させたいなと思ったのが「鎮守の杜(ちんじゅのもり)計画」。

結局、ひと昔前だったら「鎮守の杜」という、お寺や神社は森が必ず残っていて、そこに固有の植物があり生き物がいて、そこは絶対に乱開発しないから、いろんな鳥、つまり渡り鳥ががやってくるし、そこを中心に人が集って、人やモノなど、いろんなものが連繋していくという杜。

そういう中で人間関係がちゃんと緊密にあるから、川の上流で変なことをしたら下流が困るという、いい意味で日本特有の連帯感が、昔はとれていた。 今はそれが薄れてきてしまって、政治的な行政がわりこんできて、そこの地域だけで解決しようとしてしまいがち。
だから、あるところの地域に問題がおこったらそれをなくそうとして、ほかのところに持っていこうとするのですよね。 ゴミ処理問題と同じでね。

 

そういう流れは今の日本が抱えている大きな課題にもうつります。

うちのところから出せばいい。 どこかに出せば解決したという考え方では絶対、無理。
たとえば、イメージしているのは、ひとつの川の流れがひとつの文化圏という捉え方。
水なくしては生きてはいけない。 特に日本はね。
川の流れをひとつの行政区域みたいにして、そこには当然、神社が点在しているから、そういうところを、つないできちんと連帯的にやっていかないといけない。
というのは、どうしても食事の講座をし、環境のことを考えると、オーガニック「有機栽培」に関心はあるのです。
有機、オーガニック認証協会の認定検査員という資格も取得しているのですけど、その研修をうけた時に、現状を知るんですが、上流で農薬を使えば、その毒が下流に全部流れていくので、全部が死に絶えてしまう。
ということは川の流域全体がほんとは意志を固めて、川単位で土地を護っていくということをしないといけない。

それがシンボルでいったら「鎮守の杜計画」なのです。

 

水の流れ、つまり川と杜(森)がなぜそこにあるのかを今一度、考えるのですね。

ちゃんと有機栽培をしようと思えば、川の上流の人から「有機しか使えません、使えません」と、山の上からドミノ倒しで有機栽培が広がっていくのです。 そういう意味では「鎮守の杜計画」というように、神社やお寺も大切なスポットになってくると思う。
じゃ、いつ、そういうことができるかなと思うけど、今のセミナーをやっているスタイルでいろんな方や生徒さんが育ってきて、少し別の時間ができるようになってきたら、神社のおまつりごともきちんとして、そこの地域の住民の方と自然についてまじめに考える。 その地域で有機栽培の指導をしたり、農業改良普及員の資格もあるのでそういうところから徐々に、流れを作っていきたいですね。

そういう意味では、まだ40代で人の指導をするにはちょっと若い。 でも今から意識をもって、まずは自分からやる。 実績とか、植物の勉強、環境の勉強、それに神道の勉強、そういうこともちゃんとして、最終的には自分が生きている間には「鎮守の杜計画」はすすめたいなと。

 

「理想」と「現実」難しくないですか?

もちろん、理想と現実の狭間はあります。 それでもやっぱり、理想をずっと追いかけてきた自分をまげたくなかったし、今もまだ夢の途中ですが、「種」は育んでいける。 もちろん、みなさま、それぞれがもっているものを導き出し、その中にある「種」を一緒に育んでいきたいなというのもあります。
いっぱい、いっぱい夢をつめこんだ結果、もっともふさわしいシンボルが「シーズ・種」。
人の心に緑の種を植えていくことも、砂漠緑化や環境保全にやっぱり直接かかわることなんだなと思うのでね。

 

一粒の「種」からはじまる。
2012年、今いちばん何を考えていますか?

そうですね。 まず去年の地震(東日本大震災)もあり、いろんな情報とかそういうものを受けて、どうしても心が揺れると思うのです、誰でも。
でも、ほんとに自分が生きていくためには、大切な人を護っていくには、何が必要なのかな、その本質に目を向けて、生きていきたい。
そして、そういうことをご縁のある方々と一緒に、真剣に考えて、どうすれば自分を含めて家族も周りも健康でいられるのか。
それが、環境の保護とか生物同士がうまく共存共栄していくことの基本じゃないかなと。
うっかり、人間の行動は、ほかの生物に与える影響はとても大きいと思うのです。 人間の心が迷わないように、「ほんとに今これ、すべきことなのかな」ということに目をそらさないで、逆にこんな時だからこそ向き合う。

そういう意味では、人によっては食事を見直すほうがいい、自分の身体を見直すほうがいい、あるいは家族の環境を見直すほうがいい、という「外」じゃなくて、「内側」に目を向ける、いいチャンスが今きているんじゃないかなと思います。

弊所、あるいはスクールの「シーズ」が、そういうことに真剣に取り組もうとされている方の何かのお役に立てたらいいなと思います。 ガチで取り組みたいなと思っています。

 

 ・山根康児インタビュー記事

 

 


 
 
 

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